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【第3回】収入を求める人が陥りやすい「分配金=利息」の罠

(写真=Tapu/Shutterstock.com)

早期退職から年金受給期間までには、「収入の空白期間」が生まれます。その心理的不安から、毎月分配型の投資信託を利用することを頭に思い浮かべる人も多いでしょう。でも、分配金を利息と同じように考えていると、あとで後悔することになるかもしれません。

「分配金=安定的な収入」は誤解。元本から分配金が出ていることも!

早期退職後の収入源として毎月分配型投信を用いるメリットは、過去の分配金実績から毎月受け取れる分配金額のシミュレーションができること。

たとえば毎月150円分配金が受け取れ、基準価額が1万円の投資信託の場合、「分配金150円×12カ月÷1万円=18%」と、1年間で18%の収入が得られると計算できます。元本3000万円で年利18%=年約430万円(税引き後)になるので、「これなら生活できる」などと思いがちですが、この計算が当てはまるのは「分配金が運用益から出ている」場合のみ。分配金は必ずしも「運用益」から出ているのではなく、運用状況がよくないときは「元本の取り崩し分」があてられることがあります。

予想していたよりも早いペースで元本が減ってしまった結果、早期退職を後悔するなんてことにならないよう十分な確認が必要です。また分配金は、運用会社の戦略に応じて途中で減額されたり、増額されることも。毎月の受け取り金額を自分で決められないという点も、早期退職の際に分配型の商品を利用する際の注意点と言えるでしょう。

マーケットの上昇局面で差がつく分配金の受け取り方

実際に元本から分配金が支払われると、どのようなことが起きるのでしょうか。下のグラフは、同じ投資信託で毎月分配金を受け取ったケースと、分配金を再投資したケースの基準価額を比べたもの。下図から分かる通り、マーケットの上昇局面において、毎月分配金を受け取る場合と再投資する場合で、戻りに大きな差が出ています。

これは分配金が元本から支払われる分だけ、その投資信託の運用資産が減少するためです。長期で資産運用をするなら、分配回数の少ない商品や分配金を再投資するほうが、複利効果で運用資産が増えていくことが期待できます。“取らぬ狸の皮算用”とならないためにも、毎月分配型投信の活用には十分な注意が必要なのです。

<図:同じ投資信託の「基準価額+分配金」と分配金を再投資したケースの想定基準価額(「再投資リターン」)の推移>

※「再投資リターン」は課税前の分配金を再投資換算した基準価額であり、当ファンドの公表している基準価額に、各収益分配金(課税前)を毎月末再投資したと仮定して算出したもの。分配金に対する税金は考慮していないため、実際に投資家が得るリターンとは異なります。

それでも投資信託を使って毎月の収入を得たい場合には

まず考えられるのは、資金を運用しながら毎月一定の金額、あるいは口数を解約していく方法。自動解約サービスを提供している証券会社もありますが、サービス取扱い会社、商品数ともにまだ限られているのが現状です。

自分で手間をかけられるという人は、資産全体のプランニングの中で自分が必要な分を毎月解約すると良いでしょう。自分で行うのが難しいという場合に味方につけたいのが、実績分配を方針としている投資信託。これは投資信託が得られる利益の中から分配金を出そうとする商品のことです。

たとえば、債券に投資する投資信託であれば、投資対象の資産クラスによってある程度の利回りが予測できます。今(※2015年11月当時)の環境下であれば、先進国債券で約1-2%、新興国債券が約5-6%、ハイ・イールド債は約6-7%のリターンが期待できるでしょう。債券が得る利回りと、その投資信託が分配している分配金利回りに大きな差がないようであれば、その投資信託は実績分配を心がけている投資信託だと言えます。

反対に、その投資信託が投資対象資産から得ることできる利回りと、分配金利回りに大きな差がある場合には、本当にその分配金を収入の当てにして良いか、考えてみる必要があります。

早期退職をしてから年金がもらえるまでの収入空白期間は、心理的に不安になってしまうもの。だからといって安易に分配金の多い投資信託に飛びつくことのないよう、まずは自分の全体資産のシミュレーション、毎月の必要金額を把握することから始めてみましょう。

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