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もしも親が認知症になってしまったら……「家族信託」は有効なのか?

(写真=Pressmaster/Shutterstock.com)

社会の高齢化が進む中、認知症を発症する高齢者はますます増えてきています。認知症を発症するとさまざまなトラブルが予測されますが、中でも深刻なのが財産管理問題です。親が認知症になった時に備え、今から財産の扱われ方と解決策を考えておくことは重要なポイントです。今回は、家族信託という方法とそのメリット、そして成年後見人との違いについて解説します。

親が認知症になった場合、財産はどうなる?

厚生労働省が2014年に発表した「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によれば、認知症高齢者は今後ますます増加し、2025年には65歳以上の約20%が認知症を発症するとされています。認知症はどの家庭にとっても他人事ではない時代に突入したといえるでしょう。

また、認知症などにより本人の意思判断能力が低下することで、財産が凍結されてしまう恐れがあります。そうなると、認知症になった親の代わりに子どもが銀行から財産を引き出すことができず、財産の管理や処分が一切できなくなってしまうのです。

親が認知症になった後に財産を管理する場合は、家庭裁判所へ申し立てを行い、成年後見人を選任してもらわなければなりません。兄弟間で調整が必要になることもあり、鑑定費用や手続き費用がかかるため、なるべく親が認知症を発症する前に財産の管理や処分の方法を決めておく必要があります。

家族信託と手続き方法

認知症に備える事前の対策方法として「家族信託」があります。家族信託とは、財産を管理する方法の一つで、自分の資産の管理や処分を家族に任せることをいいます。資産を家族に預ける立場の「委託者」、財産を預かって管理・運用・処分する権利を持つ「受託者」、そしてその財産から利益を受ける「受益者」で構成されており、受託者は委託者の信託目的に従って受益者のために財産を管理し運用します。

委託者が認知症になる前に設定しておくことで、本人の意思決定能力が低下しても受託者が財産を管理・処分することができるので、財産を凍結される心配がありません。

家族信託の手続き方法には3種類あります。一つめが委託者と受託者の間で契約書を交わし信託契約を結ぶこと、二つめは委託者の遺言によるもの、そして三つめは委託者件受益者が信託宣言を行う方法です。信託宣言は親が子を受益者とした財産管理を、他の財産とは別に管理したい時などに利用できます。

なお、家族信託という言葉は法律上正式なものではなく、便宜上使われている呼び名です。家族信託は、2007年に信託業法が82年ぶりに全面改定され信託の活用範囲が広がったことで、自由度と利便性の高い財産管理用法として注目を集めるようになりました。

家族信託のメリットと成年後見人との違い

家族信託と似た財産管理方法に、成年後見制度があります。成年後見制度は、認知症などで判断能力が低下した人を法律的に支援するための制度です。親が認知症になった後からでも家庭裁判所へ申し立てを行い、財産を管理する成年後見人を選任してもらうことができます。しかし、成年後見人は財産を本人に代わって維持・管理することが目的であり、負担と制約が多いというデメリットがあります。

一方家族信託のメリットは、何といってもその自由度の高さです。贈与や投資を含め委託者と受益者の間で柔軟に設定でき、最初に指定した受益者が亡くなった場合に備えて次の受益者も指定しておく、といったことも可能です。そのため当人たちには使いやすい財産管理方法といえます。

また、家族信託で預ける財産は受託者の財産とは切り離して扱われるため、万一受託者が将来破産したとしても、信託財産がその影響を受けることはありません。これを信託財産の倒産隔離機能といいます。そのため安心して財産を受託者に任せることができます。

将来に備えて家族信託という方法を検討してみよう

「親が将来認知症になるかもしれないという前提のもと、話し合うことに抵抗がある」という人もいるかもしれません。しかし未来は予測できませんから、親がいつ認知症を発症するかは分からないのです。いざという時に親の財産が凍結されて慌てることがないよう、準備は万全にしておくことが大切です。

将来に備えて、家族信託という方法を検討してみてはいかがでしょうか。

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